山田芳裕「へうげもの」

へうげもの(1) (モーニング KC)

へうげもの(1) (モーニング KC)

戦国時代という野心と出世欲にまみれた世界において、人の物欲と業を描く。主人公は織田信長の家臣である“数奇者”古田左介。欲の有り方については「デカスロン」でも描かれてきたが、戦国という異質な舞台においてどのような表現や対比をされるのか、今後の展開が楽しみ。
今作は前作「ジャイアント」のようなインパクトは無いが、それとはまた一味違う繊細さと重厚さを兼ね備えた描写が良い。特に光秀が八角釜を手に取ろうとして逡巡する場面など、微妙な表情の変化による「間」の持たせ方が絶妙。枠線にペンでなく筆を使用しているところは「大正野郎」とイメージが重なる